この小説を全体的に見たときに、何も印象に残るものがない。倉光俊夫『連絡員』などにも言えることだが、マイナーな職業の実相を描く小説はそれだけで評価されている憾みがある。物珍しさというものは曲者で、あまり世間に知られないものを書くこと自体に価値はあるのだが、評価と価値はまた違う。
この小説においてもそれなりの苦労は描写されているが、それは文学的というよりも何か歴史の教材のような、土俗的なもののように思える。いずれにせよ、こういった小説は「ここにも生活がある」という、ある種偏在性のようなものを持ち合わせているだけで、それ以上の意味に乏しいのだ。
わたしが勝手に推測するに、これは生き字引というわけではないが、当時の選考委員たちの考える芥川龍之介賞という賞の水準ならびに、幅広さを尊重しての受賞となったのではないか。そのような事を思う。
第十八回受賞作(1943年)
わたしの評価 ★★
わたしの印象に残った選評 「きれいごと」ばかりが採り上げられてあるなどという非難は俗っぽい批評だと思う(片岡鐵兵)
この小説においてもそれなりの苦労は描写されているが、それは文学的というよりも何か歴史の教材のような、土俗的なもののように思える。いずれにせよ、こういった小説は「ここにも生活がある」という、ある種偏在性のようなものを持ち合わせているだけで、それ以上の意味に乏しいのだ。
わたしが勝手に推測するに、これは生き字引というわけではないが、当時の選考委員たちの考える芥川龍之介賞という賞の水準ならびに、幅広さを尊重しての受賞となったのではないか。そのような事を思う。
第十八回受賞作(1943年)
わたしの評価 ★★
わたしの印象に残った選評 「きれいごと」ばかりが採り上げられてあるなどという非難は俗っぽい批評だと思う(片岡鐵兵)
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