結論だけ言えば、とてもつまらない小説。作品を印象付ける強い要素もなければ、作家でありながら俳人でもある作者自身が小説というメディアを使って訴えたいこともいまいち判然とせず、ひたすらに低質な作品としかわたしには思えなかった。
選評を隈なく見てみると、おどろいたことに誰一人わたしと同じようなことを思ってはおらず、唯一受賞に反対する旨を示していた岸田國士でさえ、この小説に「傑れた点がある」と認めているのだ。当時の文壇における作家たちの声に耳を傾けようとも、短いということだけが唯一の救いであるという風にしかわたしは思わない。
第二十回受賞作(1944年)
わたしの評価 ★★★
わたしの印象に残った選評 素直に美しい作品ではありませんか。格別な言挙のないのも好もしいと思います(佐藤春夫)
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