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確証 小谷剛

ダイヤモンド
初読時、わたしはこの小説を心の底から軽蔑していた。ところが再度読み直してみると、当初感じたほどにひどい小説であるとは思われなかった。それは何故だろうかということは考えてもよく分からなかったのでいったん置いておくにしても、なぜこの小説が戦後初の芥川賞受賞作たり得るのか、という疑問は初読時と変わらず浮かび上がる。
強いて言うなれば、欧米への敗北感および、屈辱といったものの結実なのかもしれない。もしかすると、小谷自身も米兵に愛する者を奪われた敗戦国民のひとりだったのかもしれない。何となくそんなことを思ったが、わたしはどちらかというと、自分の感受性の軽微な成長のほうに強い喜びを感じた。


第二十一回受賞作(1949年)
わたしの評価 ★

わたしの印象に残った選評 入選者の一人と決定したが、私は、ただ祝意を表するだけで讃辞は保留する。思想的根柢のない安易な露出趣味の文学は、大成を望むものにとって才能の浪費である(岸田國士)
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