共産主義化していく日本人をテーマにした小説。同じ国の人間が捕虜として収容所に収監された結果、全体的にどうなるのかが良く分かる。
思想に溶け込めない中で、自分の可能性を知らぬまま日々を過ごすという苦しさはどれほどのものだろうか。この時代に書かれていなければ、それはきっと分からなかったことだ。しかし表題の『異邦人』とは、日本人のことか中国人のことか、またはその両方なのか。重い主題を扱っているからこそ、この点に関しては曖昧にするべきでなかった。
第二十三回受賞作(1950年)
わたしの評価 ☆
わたしの印象に残った選評 『異邦人』という作品の価値判断は、読者におまかせした方がいいだろう。これは理窟のいらない作品だ。読んで感動した人が、それだけ得をした、というそういう性質の作品なのだから。最も大衆的な作品でもある。この作品には一つの生命が具っているだけだ(坂口安吾)
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