血を血で洗う戦争が終わりつつも、滅亡の予感が世間を支配していたであろう1951年。不安定な日本に光を照らすような文学作品として、あるいは一度国というものを破壊して再生させるという意思のある文学作品として、この2作の受賞はまったく不適当である。
意義のある小説とは、たとえ絵空事であったとしても、一つの命を懸けて挑む『生命』そのものとしての小説か、それとも職業として、社会的に文化人としての地位を得たいがために書かれる小説か。深く考えずとも分かる事だろう。
第二十六回受賞作(1951年)
わたしの評価 ★★
わたしの印象に残った選評 文学はいつもただ「人間」の側に立つべきで、特定の誰の側に立つべき物でもありません。広場の孤独なぞという説明も、血の通ったところのない空々しいものとしか受けとれませんでした(坂口安吾)
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