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蒼氓 石川達三

ダイヤモンド
第一回の芥川賞受賞作であり、石川達三の出世作。
それ故かきわめて模範的な小説で、なおかつきわめて写実的で意味のある小説。これはまっとうに上質な文学であり、石川達三という堅牢な小説家の最高点ともいえるだろう。
この小説のもつ強みは、詩的あるいは文学的な観念を小説世界に安易に持ち込んでいないことにある。つまり気取りがない。このあたりが、落選した太宰治と石川達三の差別点だったのかもしれない。


第一回受賞作(1935年)
わたしの評価 ☆☆

わたしの印象に残った選評 心理の推移の描き足りなさや、稍々粗野な筆致など、欠点はハッキリしているが、完成された一個の作品として、構成もがっちりしているし、単に体験の面白さとか、素材の珍しさで読ませるのではなく、作家としての腰は据っている(久米正雄)
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