敗戦国民である日本人の米国および英語への劣等意識は感じられるが、その意識が文学的なものかといわれれば「ノー」だ。何しろ夾雑物が多く、そのほとんどが程度の低い自虐ネタのような何かだ。ラッパー・FORKが言っていたように、『まずそれが文学かどうか、その先のユーモア』という一文で説明すれば十分だろう。
日本人のこのような呑気さが、マッカーサーに『精神年齢十二歳の国』と評される所以となったことは言うまでもあるまいか。ただし、この言い回しは日本国民の国民性を指したものではなく、日本といういち国家の政治的な成熟度を揶揄したものであるらしく、ゆえに現代の日本に通ずる表現などでは決してないことを付記しておく。
第三十二回受賞作(1954年)
わたしの評価 ★★
わたしの印象に残った選評 人間の劣等意識を執拗に追求した作品で、一時期の日本人を諷刺して時代的意義もある力作である(井上靖)
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