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太陽の季節 石原慎太郎

ダイヤモンド
のちに東京都知事となる石原慎太郎の代表作。作家としての石原は、終始「生」を追随し続けていたようにわたしには思える。生きている以上は死ねない、という生命の根本原理を足掛かりとし、小説でしか表現できないことに真っ向からチャレンジしていく。現代の感傷的な作家たちとは全くもって毛色の違う攻撃的な文学。それがわたしの持つ石原慎太郎の文学像だった。
この小説は、そんな石原の小説スタイルの確立、あるいは定着を強く手助けするものになった。文学とは必ずしも高貴なものではないということを、いちばんはじめに芥川賞に叩きつけたのが石原であるが、果たしてこの受賞がサリンジャー的とも言うべき、文学観の刷新に貢献したのかどうかは定かではない。


第三十四回受賞作(1955年)
わたしの評価 ☆

わたしの印象に残った選評 佐藤春夫氏の指摘したような、押しつけがましい、これでもか、これでもかの、ハッタリや嫌味があっても、非常に明るくはっきりしているこの小説の目的が、それらの欠陥を補ってあまりあることが、授賞の理由である(舟橋聖一)
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