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海人舟 近藤啓太郎

ダイヤモンド
前回受賞の「太陽の季節」とは打って変わって、一見地味な小説である。というのも、全体的に作者自身の体験的な感触が薄く、そのために特殊な題材の魅力が最大限に生かされていないように思える。
故に方言というある種「味付け」のような要素を抜きにして考えた際に、いまいち惹かれない素朴さのみが印象に残る。とはいえ、海の描写には光るところがあり、作者は海人の生活というよりも、大自然の底知れなさとおおらかさを表現したかったのではないか、とも思う。


第三十五回受賞作(1956年)
わたしの評価 ★

わたしの印象に残った選評 新風というわけにはいかないが、健康な後味のよさである。永年小説を書いていて常に気にかかることは「童心」ということである。初心忘るべからずであるが、この小説の中から私はそれを強く感じた(丹羽文雄)
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