後年の開高健作品に続く、釣り・酒の二大要素がすでに備えられている。文化と人々の絶妙な距離感というものはある種エッセイ的テーマであり、ゆえに批評と両立させることが困難なのだが、開高はこのような問題に対して真摯に取り組み、そして打ち勝ってみせた。その研究ともいうべき努力の結実が至る所に見受けられる。
第三十八回受賞作(1957年)
わたしの評価 ☆☆
わたしの印象に残った選評 作者の読者に訴える主題も明確に必然的に追究されて、そこに一個の健全な芸術論を展開したのもよく、この生硬も一種の表現と見て看過する。まっとうに主題と取組む熱誠な作風はチョコ才な作品の横行する現代では最も珍重すべきであろう(佐藤春夫)
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