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暢気眼鏡 尾崎一雄

ダイヤモンド
短編九つ。率直に言えば、この小説の主人公は非常に香ばしい。奢り高ぶった芸術家のステレオタイプみたいな感じ。家族をだまして、暴力を振るう。愛と誠実さに欠ける酷い人間だが、わたしが真に怖いと思うのは、自らの振る舞いに対して特に深く思考していない、というところ。「俺は何てヒドイことをしているんだろう」という自省ではなく、なんだかモヤモヤするけどまあいいか、のスタンスを地でいっている。
芸術とは、それほどに高尚なものなのだろうか。この小説はもっと、芸術家気取りの横暴な文化人に対する批評であるべきだったと思う。


第五回受賞作(1937年)
わたしの評価 ★★

わたしの印象に残った選評 書けない作家が書けない事を書いている作品、というものは昔から好きでない(佐佐木茂索)
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