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山塔 斯波四郎

ダイヤモンド
第一印象として、全体的に文章が生硬すぎる。決して題材そのものが難解というわけではなく、ただただ叙述が硬い。この小説としての居心地の悪さが、彼の新聞記者という職業柄によるものだと知ったときには思わず納得してしまった。
なぜこの小説が書かれたのか。わたしにはこのような疑問が浮かぶ。常に何かを追い続けられる姿勢があるからこそ、人生の追求という主題がひときわ輝いて見えるようになるのだろうか。いずれにせよ、作中で説かれる言説がほとんど体制的なメッセージのように感じられることには変わりなく、禅的思想の終着点とも言える「悟りの果て」という深淵を小説世界に覗かせることもなかった。


第四十一回受賞作(1959年)
わたしの評価 ★★

わたしの印象に残った選評 中村光夫が「他の候補作は、小説の中に小説があるだけだが、この作品には人生がある」という意味の言葉を、微笑まじりに述べられたが、どうやらその評語が、授賞のメドをついているようだ(永井龍男)
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