つかみどころのない小説。だが、この時代の女流作家らしいディテールや、叔母と甥っ子のヘンテコな心理劇のようなギクシャクした会話等、微妙な文芸的魅力があり、「文壇派」らしい文章も上手。
案外、わたしたちの心に寄り添ってくれるのはこういった小説かもしれないと思う反面、やはり小説本来の「面白み」とは逸脱した楽しみ方をわたしがしているだけ、というようにも思える。そもそも、善人ばかりが出てくる小説は優れた小説になり得るのか、という命題に対する結論は未だ出ておらず、相容れない雑多な文学観の中のひとつとして曖昧なまま存在し続けている。
第四十九回受賞作(1963年)
わたしの評価 ☆
わたしの印象に残った選評 賞の対象になる強さを欠いていた。「分る人には分る」といった小粒な作品だが、純粋さを買われたようだ(永井龍男)
16view
0点
良い
悪い