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されどわれらが日々―― 柴田翔

ダイヤモンド
まず第一に、この小説は「いい話」なのだろうかという疑問を抱く。それは裏を返せば「いい気な話」の間違いではないのかという疑問でもある。極左団体が生まれては解体され、左翼学生の信ずるものが段々と愛に揺るがされていく、というのが本作のテーマであるが、この小説全体に染んでいる感傷に、殊更の神経も通ってはいない。はっきり言うがこれは愛などではない。ただの自己愛だ。つまりフェイクだ。
「されどわれらが日々――」という題名からも分かる通り、この小説は常に日本人の無気力さや、ダルな空気感の中にある。共産主義者による理想の共産主義社会の実現、という内的なテーマも、女性の処女性に対する幻想すら感じ取れるこの小説では陳腐なものに見えて仕方がない。
1964年という混沌の中にありながら、未だに明治時代のような考えで書かれているこの小説がなぜベストセラーになるのか、わたしには理解できなかったし、選考委員の選評を読んでも、なにひとつ頷けるものはなかった、


第五十一回受賞作(1964年)
わたしの評価 ★★★

わたしの印象に残った選評 自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった(丹羽文雄)
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