戦争が終わり、小さな村出身の陸軍大佐が十数年ぶりに故郷に帰る、というタイトルそのままの小説。例によって、叙述的手法をとっている小説が苦手なわたしは、徳山道助の半生を描く前半部分で猛烈に退屈してしまい、その印象を巻き返すことなく読み終えてしまった。選考委員を務めた舟橋聖一は「ごく平凡な職業軍人のステロタイプを描いたもので、反戦もなければ軍閥批判もない」としているが、わたしもそのようなことを思った。はて、この小説はいったい誰のために、何を伝えるために書かれたのか。
第五十八回受賞作(1967年)
わたしの評価 ★★
わたしの印象に残った選評 ごく平凡な職業軍人のステロタイプを描いたもので、反戦もなければ軍閥批判もない。その栄達心、功名心もありふれた世俗的なものだ。過去半世紀にのさばった旧軍人の伝記を、無条件肯定の観点から書かれては困ると思うのである。(舟橋聖一)
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