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年の残り 丸谷才一

ダイヤモンド
過去と現在を行き来する中で発生する意識的な問題については敢えて触れずとも、この形式、このマイルドさでさえ、男性の征服欲、というもののおぞましさを垣間見るような感覚を覚え、最後の高校生の日記に至ってはもう、げんなり、という感じである。
老いと死。それがテーマのはずだった。しかし、この老人の追想が克明であればあるほど、わたしは性という概念に対する恐怖心を煽られるのだ。確かにセンスはある。文学的香気などではない、確かだがしかし名状し難いセンスのようなものがある。のだが、肝心のテーマがこれだと、どうしても「イエス」という結論を出すことはできない。


第五十九回受賞作(1968年)
わたしの評価 ★

わたしの印象に残った選評 巧みな語り口のわりに、読後にうける感銘はうすく、老人小説がはやれば、すぐこれだけのものを書く作者の才気にはある危険を感じますが、この作品の出来はわるくないと思います(中村光夫)
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